最高検察庁 

大野 恒太郎 検事総長殿

 

平成27年8月12日

 

河本 友紀 

友人 ○○ 

 

上申書

 

事件番号H27-63991 被告人 白坂愛里に対する事件に関して

本事件に関し、すでに第1回公判が7月16日に行われておりますが、本件起訴に至るまでに、検察官が被害者と十分なコミュニケーションを図り、事件の処理等について被害者の要望を聞き、
要望に沿えない場合にはその理由を丁寧に説明するという被害者のための刑事裁判実現にとって大切なことがなされないまま、本件裁判が始まってしまいました。


まず、各検察官には、以下のような対応が求められます。

(1)検察官は、事件処理に関して被害者からの要望に配慮し、要望に沿えない場合は、その理由を被害者に説明しなければなりません。

(2)検察官が裁判に提出する予定の証拠については、被害者の要望があれば、裁判が始まる前でも相当な範囲で被害者に証拠を見る機会を与える等弾力的な運用をしなければなりません(刑訴法47条但書)。

(3)検察官が裁判の中で主張し、証明しようとする事項については、被害者からの要望に配慮して、必要に応じてその内容について説明しなければなりません。

(4)上訴(判決を不服として上級の裁判所に申立をすること)するか否かについて被害者からの意見を聴き、上訴しないときはその理由を説明しなければなりません。

(5)検察官を監督すべき立場にある者は、被害者から不服申立があったときは、必要に応じて検察官を適正に監督しなければなりません。

以下を踏まえ、最高検察庁に対し上申書を提出させていただきます。

警察は刑事事件の第一次的な捜査を行い,検察庁は起訴・不起訴を決定するための捜査を行い、起訴は検察官に与えられた権限であり,検察官は裁判所に対し起訴してその処罰を求めるという責任があるため
警察からの捜査記録などを確認するだけではなく,その内容が真実であるかどうかを,事件の当事者から必要に応じて直接事情を聞くなどして,積極的に自ら事件の真相解明を行う事となっているのは、十分承知しております。

 
しかし、本件で警察は「危険運転致死傷罪」で検察に送検した事案が、検察の判断により、過失運転致死傷罪へと軽い罪によっての起訴が為されました。

これに対し検察は、過失運転致死傷罪として起訴したものでありますが、そうした結果に至った経緯の説明や遺族と検察官とのコミュニケーションなどがありませんでした。


警察は刑事事件の第一次的な捜査を行い,検察庁は起訴・不起訴を決定するための捜査を行います。
日本では,起訴は検察官に与えられた権限であり,警察官は起訴できないことになっています。
従って,検察官は裁判所に対し起訴してその処罰を求めるという責任があるため,警察からの捜査記録などを確認するだけではなく,その内容が真実であるかどうかを,
事件の当事者から必要に応じて直接事情を聞くなどして,積極的に自ら事件の真相解明に努力しています。

 

検察官は、刑事訴訟についての公訴を裁判所に提訴することにより、裁判所に法律の正当な適用を請求する立場です。その検察が、法の認識を誤った公訴を行うことは、絶対にあってはなりません。

本事件は、危険運転致死傷罪が相当であるにもかかわらず、検察の立証認識不足により、過失運転致死傷罪という誤った罪名での裁判となったことは、明確です。

検察官には、検察官の起訴時の見込みの誤りなどを事後的に救済するという点において、有罪追及のための制度の訴因変更(刑事訴訟法312条)が存在し、
公訴事実の同一性を害しない程度において、訴因や罰条の追加や撤回、変更などをすることが許されています。

公訴事実の同一性は両訴因の比較の問題があげられますが、犯罪を構成する主な要素は行為と結果であることから、そのどちらかが共通していれば公訴事実は同一であるといえ、訴因変更は可能なはずです。

 

以下、事件内容及び経緯です。

警察は、捜査を尽くし「危険運転致死傷罪」で検察庁に送致しました。

当然のことながら、警察は事故直後から現場にての捜査、容疑者からの話を聞いています。そのすべてを精査した結果、「危険運転致死傷罪が相当」と判断をしたのは間違いのない事でしょう。

それがなぜ、検察庁の判断では「過失」となったのか疑問を持ちますし、何ら納得のいく説明を受けておりません。

検察は当然ながら、危険運転致死傷罪の適用要件は承知していると思いますが、今一度、確認の意味を込め、示させていただきます。

まず、道交法では呼気1ℓにつき0.15mg以上のアルコールを身体に保有する状態、酒気帯び運転の罪の故意が成立するためには、行為者において、アルコールを事故の身体に保有しながら、
車両等の運転をすることとの認識があれば足り、同法施行令44条の3所定のアルコール保有量の数値まで認識している必要はない(最高裁作用和52.9.19)とされています。

 つまり、呼気0.2mg/ℓが検出された被疑者の身体的には、すでにこの時点で正常な運転が困難な状態に陥っていて、かつ、これを基礎づける故意事実の認識を有していたこととなります。

なので、この時点で正常な運転の困難な状態を基礎づける事実の1つは足りています。

(補足)呼気から0.2mg/ℓの数値が得た場合心身状況は、視覚機能(視線の固定が困難)、思考力、判断力、集中力などが鈍り、反射神経や動体視力にも重大な影響がある。

自動車運転死傷行為処罰法では危険運転致死傷罪の適用要件として「正常な運転が困難な状態」とし、それは道路や交通の状況などに応じた運転をすることが難しい状態になっていることをいうとしています。

例えば、アルコールによる酔いのために、前方をしっかり見て運転することが難しい状態や、自分が思った通りにハンドルやブレーキ操作をすることが難しい状態との解釈となります。

被疑者証言でも、自宅から飲食店に向かい飲酒をし、さらに車両に向かうまでの間にコンビニでアルコールを購入し飲酒しながら駐車場へと向かい車の運転を行った事を認めているのですから、
危険運転致死傷罪の正常な運転の困難な状態の基礎は十分だと思います。

つぎに、正常な運転が困難な状況であったことや、正常な運転が困難な状態を基礎づける事実を被告人が認識していたのかを明らかにしなければなりません。

その上でまず1つ目として、「コインパーキングから出る際に一旦停止を行っていない」「その上で一方通行を逆走した」という事実が存在します

  被疑者証言では「大きな輸入車だった為、所有者本人が狭い駐車場から出庫だけをし、出入口を出たところで、運転を交代してもらおうと思っていた」
「 駐車場出入口手前で一旦車を止め、左右確認して、自転車や車が来ないかどうか確認するつもりはなかったと思います」と証言しており上記に対して検察官が、
「普通、駐車場を出るとき、出入口手前で一旦止まって、左右の安全を確認すると思うが、なぜそのようなことは頭に浮かばなかったのか」と問うと被疑者は「お酒の影響で、普段やっている安全確認をしなかったと思います」と答えています。